起業家物語

【Case7】垣間見える小さな光を引き出す     若林由香氏

コツコツと固い殻を、非力なくちばしで何度もつつく。https---www.pakutaso.com-assets_c-2015-05-PPW_komorebitohizasi-thumb-1000xauto-13165

少しずつ殻が薄くなり、

小さなひびからもれる、まばゆいばかりの光が目に飛び込む。

 

たまごの殻を割り、

雛が初めて世界を目にする。

 

************

 

人は、成長過程でたくさんの鎧を着こんでしまう。

それは、社会に生きる中で、自分を守るために仕方のない事かもしれない。

しかし、その鎧は重く、不自由である事も多い。

 

経営者がまとった鎧を打ち砕き、

本当の自分を見出すサポートを生業とする人。

今回の主人公若林由香氏の事である。

 

 

ファンとアンチ


 

「以前は、目立つのがいやで、上から下まで灰色ずくめの服装だったんですよ。」

彼女の強い眼の輝きからは、およそ想像もつかない言葉だった。

私が見た若林氏は、信念を持って、何物にも迎合せず、自由にふるまう強い女性。

そのうちにともす光は、「灰色の時代」にも隠すことはできず、

「どこにいても目立つことが多かった」という。

 

しかし、目立つという事は、様々な批判にもさらされるという事だ。

有名人は多くのファンを持つと同時に、多くのアンチも生み出す。

彼女もまたファンとアンチを引き寄せた。

そんな状況に疲れ切り、出る杭が打たれるなら、出ないようにしよう。

そう考えて、彼女の選ぶ服は次第に目立たないものとなっていた。

白でもなく、黒でもなく、灰色。

当時の彼女の心を反映していたのかもしれない。

 

 

自分で決められる立場で


 

 

 

学校を卒業してすぐについた仕事が、化粧品の販売の仕事だった。

化粧を通じて、外見が変わり、

外見が変わると、人は自信を身に着ける。

自信は、その人が持って生まれた光を露わにさせる。

 

人が好き。

人が目の前で変わっている姿を見るのが好き。

そんな彼女にとっては、この仕事は天職のように思えた。

 

販売数はみるみる伸び、トップクラスの営業成績を収めるようになる。

その成果が認められ、最短での店長抜擢を経て、販売員の教育係となる。

 

 

その後いくつかの職を経験し、行きついたのが

社長と自分、二人しかいない小さなベンチャー企業だった。

 

すこし傾きかけたこの会社の業績を上げたい!

そんな一心で、フォトリーディングという読書技術を学ぶことを決意した。

既に結婚をし、小さな子供を抱える中で、

2日間を要し、しかも10万円もの受講料の高額セミナーのハードルは決して低いものではなかった。

それでも、会社を変化させたい!という気持ちに抗う事は出来なかった。

 

しかし、彼女が学んだ知識を活用した会社の改善提案は、

受け入れられることはなかった。

彼女は、事務としての採用であったにもかかわらず、

飛び込み営業、採用面接、広告作成、経理といった

経営を除くほとんどの事をこなさざるを得ない立場だった。

なにしろ、立った二人の会社だったのだから。

 

一事務担当社員ならいざしらず、社内の実務のほとんどを一手に担っていた立場であってもなお、経営者に納得させる事は決して簡単な事ではない。

結局、その社長は、外部のコンサルタントの提案を受け、そのプランを実行することとなった。

 

高額なコンサルタントを雇う前に、まだできる事があるのではないだろうか。

そう思う一方、雇用される立場である自分に憤りを覚え、会社を辞することを決意した。

自分で決められる立場で仕事をしよう、と。

 

 

一歩ずつ


 

会社を辞めたものの、これからどうしていくかは全くの白紙だった。

会社のために学んだ読書技術、

蓄積されたビジネスの知識、

そしてさらにはコーチングなどを学び、

すでに、自分の中には多くの経験と知識が蓄積されていた。

 

彼女は自由を求めた。

組織の中で小さくちぢまり、

目立つことを恐れることはもううんざりだ。

 

自分の心に素直に生きるために、

起業を決意した。

 

これまでの経験を生かした、離婚のアドバイザーからスタートし、

個人のコーチングなどを経て、

より社会に影響力を持つ経営者を対象とした、経営者専門のコーチとして

今も確実に、歩を進めている。

 

もちろん、すべてが順調だったわけではない。

知人から、「主婦の道楽」と揶揄されることもあった。

一時的に、落ち込むこともなかったわけではないが、

灰色の中に、自分を押し込めていた時期のストレスと比べれば、

小さなこととさえ思えた。

 

 

「今」を生き、未来を創る

 

「クライアントさんの未来を見届けたいんです。」

スポットのセミナーやワークショップも人気の彼女だが、

その場限りの関係ではなく、

関わった人の変化の過程、

そしてその結果を見るのが好きだという。

 

だから、少人数制。

マンツーマンのコーチを今後重視していきたいという。

 

化粧品販売の頃に感じた、目の前の人の変化。

化粧で変わるのは、見かけかもしれないが、

その自信が人を変える。

当時は、化粧品を通じて、そして今は、

彼女の経験と知識そのものが人の変化の後押しをする。

 

 

*************

 

まとった鎧は、たまごの殻なのかもしれない。

それを穿つのは、新しい人生を歩むための儀式。

小さな隙間から見える光を求めて、

人は成長していく。

 

その殻の中に、大事な本当の自分を隠してしまうのは、

その人自身のみならず、

世の中の損失なのかもしれない。

 

 

wakabayashi

ケ・セラ・セラ

若林 由香 氏

http://ameblo.jp/shiawase-syacho/

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  1. 2015年 8月 31日

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