起業家物語

【Case8】労務界の明治維新で過労死ゼロへ 下山純生氏

276eb884e1e24939f6b628d09c9c4aed_s朝、目を覚ますと、セピア色の世界が広がる。

視界は、霞がかかったようなどんよりした景色。

自由のきかない身体を必死で動かし、ベットから這い出す。

かつては、一瞬でできたことが、今は一つ一つ、息を整えながらやらなければならない。

 

それでも、彼は通勤の途につく。

鉛のような体を引きずりながら、会社に向かった。

 

目の前の仕事を、かすむ景色の中一つ一つこなしていく。

頭の中では、四六時中自分を責める心の声が鳴り響いている。

もはや決断せねばなるまい。

これ以上会社に迷惑をかけることはできない。

その後の当てもない状態で、辞表を提出した。

 

今回の主人公、下山純生氏の起業物語はここから始まる。

 

 

本当の実力はこの程度ではない


 

 

彼の勤めていた会社は、早朝から深夜まで激務の連続だった。

忙しさとは反対に、会社の業績は決していい状態とは言い難かった。

 

現場では、各部署が、各自効率の良いやり方で頑張っているのに予定した納期に間に合わない。

幹部から「なんとかならんのか!」という怒号が飛び交う朝礼でも、

社員は皆、何をどう改善したらいいのかがわからない。

 

彼は直観的に感じていた。

この会社は、タスクの流れを追っている人が誰もいない、と。

そのジレンマから、会社全体の仕組みを見直すべく、経営陣に提案した。

「会社全体の仕事の流れを一度見直してみたい。」と。

 

経営陣の許可を得て、各リーダーに仕事の流れをヒアリングしていくと、

彼の直感が正しい事がわかった。

十分な工程管理ができていない事が、この会社のボトルネックであったのだ。

つまり、ある工程で仕事がつまっており、

次の工程の担当者は手持無沙汰な状態、という状況がしばしば散見されていた。

 

彼は自分の仕事の合間を縫って、工程管理をキッチリ作り直し、

受注から出荷のタイミング管理を行う仕組みづくりを行った。

各部門長を教育し、何に注視すべきかをレクチャーし、

結果、残業時間はなんと、それまでの半分となった。

 

その成果と引き換えに、彼は、心の病を患う事となった。

 

 

日本初?


 彼は、「うつ病」という診断を受けたのちも、会社に出社した。

しかし、さすがにこれ以上は・・・

そんな状態になり、やむを得ず会社を辞することとなる。

 

しばらくは静養をしていたものの、いつまでもこの状況を続けるわけにもいかない。

彼は、自身で取得していた、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を生かした仕事を始めよう、と決心する。

 

彼は言う。

退職した当初はこの業務改善(時短)スキルと、FP資格を持っていたことで「法人のムダ削減=業務改善」「個人のムダ削減=家計改善」の二つを考えていました。」

 

そんな折、著名な経営コンサルタント、神田昌典氏の勉強会に参加する機会を得た。そこで、思い切って相談をしてみると、

「「FPじゃ稼げないから辞めた方がいい」とバッサリ切られまして、私も即そちらは諦め、

でも会社のマスタースケジュールを一人で作って一年をそのスケジュール通りに運営した実績を活かしたい、

と神田さんに相談したところ「残業削減コンサルタントでやってみない?」と言われました。」

 

恐らく、日本ではほとんど耳にすることのない、「残業削減コンサルタント」が誕生した。

 

まずは名刺交換の機会を得た経営者から、コンサルの依頼が舞い込んだ。

結果は、社長との5時間の面談で約40%の残業費の削減が実現した。

これには、下山氏本人も驚き「これならいける!」そう確信したという。

 

 

人の縁で広がるフィールド


 

その仕事を皮切りに、やはり同じ勉強会で机を並べた著名な社労士の先生のご尽力で、

2014年9月には、日本法令出版 臨時増刊号に寄稿の機会を得た。

更には、その雑誌を読んだ人事コンサルタントの方から、セミナー講師としてのオファーを頂くに至った。

現在も、大手コンサルティングファームによる講演オファー等も進行中で、

人事・労務の専門家の方から様々なご依頼を頂いているという。

 

一見、順風満帆のように見えなくもないが、彼は言う。

「そもそも営業という仕事をやったこともないうえ、まだ病気が完治したわけではないので、

活動量は制限されてしまいます。まだまだ、思うように動けていない。」

 

 

過労死をゼロに


 

実は、日本において、「マネジメント」について学んでいる人は決して多くない。

大企業の管理職の人間でさえ、マネジメントが何たるかを知り、実践している人は少数派であろう。

彼は、自身のコンサルティング経験から、こんな事を言っていた。

「日本は「働けば働くほど売上が伸びる」と信じている会社が多いです。

そして「部下のスキルが低いから生産性が上がらない」という、上から目線が多いです。

私は「生産性の悪い部署は上司のマネジメント力がない」という真逆の考えですので

この私の考えが日本に浸透したら「労務界の明治維新」くらいのインパクトがあると思ってます。」

 

彼のミッションは、

「日本から、過労死をゼロにすること。」

だという。

 

「そもそも、過労死に追い込まれる人ほど、仕事に対する責任感が強い人です。そのような人を死なせては日本としても大きな損失です。」

新しい時代に向けた、ワークライフバランスの礎を築きたい。

これこそが、彼の思いだ。

 

 

 

 

 

エス・プランナーズ 代表shimoyama

残業削減コンサルタント

下山 純生 氏

http://s-planners.com/profile/

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  1. 2015年 9月 03日

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